Tuesday, May 18, 2010

破戒

 制作の合間に読み進めてきた、島崎藤村の破戒を読了した。
 大したファットなストーリーでした。
 現在では初版復原本しか手に入らないが、これはオリジナルを読まなければ何の意味も無いと感じました。この平成の現代でも完全に無くなった問題ではないのだと思います。なので巻末の解説も読まなければ、完全な理解も得られないでしょう。

 明治の変人(どこかでプロフ探して)が書いた自然派文学はホントにリアル。ワタシはちゃんとした文学作品は読んだこと無いのですが、これはおもしろいです。それにリアルだからこそ読みやすい。藤村自身も舞台となっている信州で教職をとっていて、主人公も実在した人物なのです。

 この本というか、藤村の主人公の心の葛藤の描写がスゴい。主人公が中心の私小説的な所もありますが、自分の感情も移入してしまいます。

 さらにワタシはこの本に「悲哀の主人公を中心にした下層社会の人々と、校長や代議士候補という権力者との戦い」というテーマを感じました。まさにパンクの精神です。
 しかもこの島崎藤村の1stアルバムは自費出版なのです!どこまでもパンク精神です!素晴らしい。

 ワタシ、これを機会に他の藤村の作品を読んでみようと思います。
 小難しい評論家の意見は聞かない方がいいと思います。自分で読んで判断すればいいのです。評論家が言う様な難しいことは、この本には一切ありません。
 おもしろいか、つまんないか、音楽と一緒です。